個人開発、楽しいですよね。
でも、作ったものをいざ公開するぞ!ってなると、地味に頭を悩ませるのがホスティングサービス選び。
とりあえずググってみると、だいたい「Vercel」か「Netlify」がおすすめされてる。
「まあ、みんな使ってるし、どっちか使っとけば安泰っしょ!」
…私も最初はそう思ってました。
Vercelのサクサクな開発体験に感動してたら、ふと利用規約に「あれ、これって収益化したらダメなやつ…?」って書いてあるのを見つけたり。
慌ててNetlifyに乗り換えたら、今度は月末でもないのに「今月のビルド時間、もう残ってませんよ」って無慈悪な通知が来ちゃったり。
そんなこんなで、いくつかのPaaSを渡り歩いた私が、「今のところ、これが一番しっくりきてるかも」と感じているCloudflare Pagesに落ち着いた理由を、今回は包み隠さず話してみようと思います。

Vercel:夢を見せてくれた楽園と「商用利用の壁」
私のPaaS探しの旅は、多くの人と同じように「Vercel」から始まりました。
今でこそGit連携の自動デプロイは当たり前ですが、Vercelは特にダッシュボードのUIが洗練されていて、触っているだけで気分が上がったんですよね。
- 洗練されたダッシュボードUI
- 爆速ビルド・デプロイ
- プレビュー環境の自動生成
- 詳細なアナリティクス機能
デプロイ状況やプレビュー環境へのリンクが一目瞭然で、「あ、自分、今イケてるサービス作ってるな」って感じさせてくれる、あの高揚感が好きでした。
この快適な環境でサービスも少しずつ形になり、私はふとこう考えます。
「サーバー代の足しにでもなればいいな。Google AdSenseでも導入してみるか」
軽い気持ちでした。本当に。
そして、いつものように検索窓にキーワードを打ち込みます。
「Vercel アドセンス 審査」
そこに表示された検索結果に、私は目を疑いました。
…え、マジで?
血の気が引くのを感じました。あの快適な開発体験は、サイトから1円でも収益が上がる可能性のある「商用プロジェクト」では許されないというのか、と。
もちろん、Proプランに課金すれば解決する話です。でも、まだ収益がゼロの個人開発者にとって、月20ドル(約3,000円)は決して安い金額ではありません。

こうして、私の短いVercelとの蜜月は終わりを告げました。
愛すべき楽園を後にして、私は次の安住の地を探すことになります。
Netlify:自由の代償は「ビルド時間」という足枷
Vercelの「商用利用の壁」に阻まれた私が、次に希望を託したのが「Netlify」でした。
無料で商用利用OK。
これでやっと、面倒な規約を気にすることなく、開発に集中できる!
そう思っていました。最初の数日は。
しかし、Netlifyを使い始めてすぐに、私は小さな違和感に気づきます。
「あれ…? なんかビルド、Vercelよりちょっと長くない…?」
Vercelの爆速ビルドに慣れていたせいか、同じようなサイトのはずなのに、Netlifyのビルドはほんの少しだけ、もっさりしているように感じたのです。
最初は「気のせいだろう」と自分に言い聞かせていました。
ですが、Netlifyのダッシュボードに表示される「Build minutes used」のゲージが、その不安が気のせいではないことを残酷なまでに物語っていたのです。
ブログを1記事更新する。ちょっとしたCSSを修正する。
そんな日常的な作業のたびに、月300分という限られた命が、ゴリゴリと削られていく。
仮に1回のビルドに3分かかるとすると、月100回しかデプロイできない計算に…
1日あたり約3回のデプロイが限界!
そして、移行から1週間も経たないうちに、私は悟りました。
「あ、これ、無理だ」
このペースでは、月末を待たずにビルド時間が枯渇するのは目に見えています。機能追加どころか、ブログの更新すらためらってしまう。これでは本末転倒です。
開発の自由を求めてVercelを離れたはずが、今度は「ビルド時間」という新たな足枷につながれてしまった。
Netlifyもまた、私の安住の地ではありませんでした。
こうして私のPaaS探しの旅は、三度(みたび)、振り出しに戻るのです。
Cloudflare Pages:灯台下暗しだった最適解
Vercel、Netlifyと、二度の挫折を味わい、途方に暮れていた私。
そんな時、ふと気づいたのです。
「あれ、そういえばDNSで使ってるCloudflareに、なんかそういうサービスなかったっけ…?」
灯台下暗し、とはまさにこのこと。
ドメイン管理でお世話になっていたCloudflareに、PaaSである「Cloudflare Pages」が存在することを、私はその時まで知らなかったのです。
恐る恐る公式サイトを調べてみて、私は自分の目を疑いました。
- 商用利用? → どうぞご自由に。
- ビルド制限? → 月500「回」までOKです。(時間じゃない、回数!)
- 帯域幅? → なんと無制限。
- 同時ビルド数? → 1つ(でも十分)
- カスタムドメイン? → 無制限に設定可能
Vercelの「商用利用の壁」と、Netlifyの「ビルド時間の枯渇」。
私を悩ませてきた2つの大きな問題を、Cloudflare Pagesはあまりにも鮮やかに解決してくれました。
元々Cloudflareでドメインを管理していた私にとっては、DNS設定が驚くほどスムーズだったのも嬉しいポイントでした。
もちろん、良いことばかりではありません。
Vercelの洗練されたUIに慣れていると、Cloudflareのダッシュボードは少しだけ無骨で、初めてPaaSに触れる人にとっては、少し戸惑う部分もあるかもしれない、とは感じました。

しかし、そんな些細な点を補って余りあるほどの安心感が、Cloudflare Pagesにはありました。
「最初からこれにしておけばよかった…」
それが、私の偽らざる本音です。
3大PaaS徹底比較
項目 | Vercel (Hobby) | Netlify (Starter) | Cloudflare Pages |
---|---|---|---|
商用利用 | 不可 | 可能 | 可能 |
ビルド制限 | 制限なし | 300分/月 | 500回/月 |
帯域幅 | 100GB/月 | 100GB/月 | 無制限 |
UI/使いやすさ | 最高 | 良い | 少し癖あり |
一言コメント | 体験は神。 でも趣味用。 |
バランス型。 でも時間は有限。 |
コスパ最強。 今のところは。 |
こんな人におすすめ
- 完全に趣味・学習目的のプロジェクト
- 最高の開発体験を求める人
- Next.jsを使いたい人(Vercel製なので相性抜群)
- 将来的に月$20払える見込みがある人
- フォーム機能を使いたい人
- デプロイ頻度が低い人(月100回以下)
- プラグインエコシステムを活用したい人
- Jamstackに慣れている人
- 将来的な収益化を考えている人
- 頻繁にデプロイする人
- 既にCloudflareのサービスを使っている人
- 帯域幅を気にしたくない人
- コスパを最重視する人
まとめ
Vercelという「体験は最高だが、収益化は許されない楽園」。
Netlifyという「自由だが、常にビルド時間という足枷がつきまとう世界」。
Cloudflare Pagesという「少し無骨だが、制限が少なく安心できる新天地」。
いくつかのPaaSを渡り歩いてきた私の旅は、今のところCloudflare Pagesという場所で、一時の休息を迎えています。
では、個人開発のPaaSの最適解はCloudflare Pagesなのでしょうか?
2025年現在、特に私のように「無料で始めて、将来的な収益化も考えたい」という個人開発者にとっては、最もバランスの取れた選択肢の一つであることは間違いないでしょう。
もちろん、皆さんの状況やプロジェクトの規模によって最適解は変わるかもしれません。
しかし、もしこの記事を読んでくださっている方がVercelやNetlifyに少しでも窮屈さを感じているなら、Cloudflare Pagesを試してみる価値は十分にあります。

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この記事が、皆さんの長く続いたPaaS探しの旅を終わらせる、一つのきっかけになることを願って。